2200407 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

foot001

サッカー4バックと3バック

 最新サッカーにおける4バックと3バックについて話をしようと思います。

 例えばジュビロを例にとって。ジュビロを例に取った理由はジュビロが4バックから3バックに変えたときにブラジル代表と同じ(情けない??)理由があって、これを説明すればわかりやすいと思ったからです。

 2002シーズンにすっかり馴染んだジュビロのユニフォームやシステム(N-BOX[名波を囲んだ4角形の陣形]や、鈴木監督スタイル)は、「世界クラブ選手権優勝!!」を狙う布陣でした(笑わないでね)。そのため、世界クラブ選手権レアルマドリッド戦などグループC(レアルマドリッド、ジュビロ磐田、ハーツオブオーク、LAギャラクシー)を戦うために、世界の潮流フラットな4バックやさらに進んで2バックをかなぐり捨てました。ジュビロは鈴木監督の円卓会議で時代遅れの1人余る3バック(Jリーグでは主流)を採用したのです。しかし、世界クラブ選手権は欧州クラブのスケジュールが合わず中止。結果ジュビロは2001、2002シーズンを一人余る3バックで戦いました。

 今の欧州サッカーは「フラット3」などではなく、フラットな4バック、さらに進んで2バックの様相を呈しています。


 単純に少ない人数でDFとDFラインを構成すれば攻撃に参加する選手が増えるのでそれだけ有利になります。
 3人のDFラインをスイーパーとして下げて1人余らせずに、1人減らして2人のフラットにすれば、1人余らせている相手チームにGKを除いた10人のフィールドプレーヤーで考えると”数的優位”を作ることが出来ます。
 さらにGKを前に出させて、減らしてしまったスイーパーの仕事をやらせます。これで少ない人数でDFを構成させることが出来ます。しかしその分、各DFとGKの負担と責任は重くなります。

 DFを1人減らした替わりにDF1人当たりの負担が増えましたが、オフサイドトラップを頻繁に使うことで対処します。そのためボールの無いところで相手FWとの上げ下げの駆け引きに勝つことがDFラインの重要な仕事になります。
 さらに相手チームに対して数的に有利な状況を作り上げるためには、全員が攻撃と守備に連動して参加し、11人が守備も攻撃もバランスを取りながら行います。
 GKがシュートの2、3前の精度の高いパスを出すことが要求されたり、FWがパスコースを限定しインターセプトする守備をしたり、DFのシュートレンジまでもの攻撃参加が要求されます。
 もはや中盤に限らず全てのゾーンで数的優位を作り上げるのです。
 よって今のサッカーはスペースを埋めて横にワイドになり、オフサイドの駆け引きのため縦にコンパクトになります。プレースピードも格段に上がります。
 その狭い長方形のプレーエリアで人から人へ、狭いスペースから狭いスペースに早いパスを通します。

 数的優位にあるとパスコースが必ず増える、守備においても相手からボールを奪い易くなるという方向性です。


ジュビロ
 1999年までシステマティックな欧州サッカーを信奉する、まるで今のネットサッカーマニアに近い観の静岡指導者界のニュージェネレーション指導者層による下からの押し上がる声によってジュビロは4バックをとり、世界の最新サッカーを意識しながらも人材不足に悩んで来ました。
 世界クラブ選手権に望むに当って、ジュビロ磐田はかねてからの4バックのラインディフェンスの、今でいうフラット4を成し遂げようと計画しました。
 しかし、Jリーグ最大の選手層ながらサイドバックに最低レベルの人材さえ存在しないというジュビロ首脳以下、鈴木氏をはじめ桑原氏など全てのメンバーの会議の結論に至ったのです。

 ジュビロの右サイドバックが穴だとは1994年JFLからJリーグに昇格した頃から言われていたことでしたが、この時を境にして、ジュビロは4バックを完全にあきらめ3バックに、時代に逆行し移行したのでした。


ブラジル
 このことはジュビロ磐田元監督フェリペにも同じ事がいえ、選択の余地なくブラジル代表も4バックをあきらめ3バックのDFラインを取ることになります。ブラジル代表監督に就任したフェリペが南米予選落ちの危機のブラジルを救うため早々と選択したことでした。

 フェリペはあえて4バックを取らずに3バックで守備の安定を図り、2002W杯優勝という成功を収めましたが、ブラジル代表のほとんどが欧州で4バックのシステムで戦う中、異様なものでもありました。
 フェリペの選択はあのときのジュビロと同じく人材がいないということでした。カフー&ロベカルのサイドバックは攻撃好きで守備に安定性がないことは1998年フランス大会で実証済みでした。前回は明らかにオランダの方が上の戦いをPKで制してのファイナル進出。フランス3-0という王者ブラジルにとって屈辱の結果でした。

 ブラジル代表には、センターバックの仕事を安定して出来、ラインディフェンスの仕事を微妙なバランスを保って出来る、欧州で当たり前のサイドバックがいなかった。
 前大会のオランダ戦の教訓から失敗を挽回するのにブラジル代表の4バックに必要なサイドバックは、ブラジル国内にも欧州にもいなかったのです。

 フェリッペはもともと3バック信奉でしたがW杯では伝統あるブラジルの4-4-2を発展させた攻撃スタイルで勝つことに意義があるとも考えていました。しかしその夢をジュビロの時と同じく転換することになる。そして緻密に選手の才能を組み合わせた結果、貫禄の優勝。しかしフランスやオランダ、イングランドと再戦して圧倒し勝てるかは2006ドイツ大会に持ち越すことになりました。

あくまでも状況としての考察で

 開催国特権でアジア地区予選の無かった2002W杯日本代表のトルシエ前監督。
 彼も日本に優秀な近代的サイドバックがいれば、ベッカム率いるイングランドのように、フラットな4バックにおける状況に応じての、フラット2のDF構成をしたのかもしれない。それが欧州の方向性であったことは1998W杯のオランダ代表のスタイルから大きな流れがあった。
 が、日本のDF陣のJリーグにおける、これまでやってきたサッカーのスタイル(ブラジル型4-4-2や、1人余る3バック中心)を考えた結果、それは不可能だった。
 アフリカで指導者生活を重ねてきたトルシエ氏は培ってきた3バックを、欧州スタイルとミックスさせて発展させたフラット3を日本スタイルとしてはめ込んだ。それは日本において新鮮であったが今、欧州においては、もはや信じがたいもので採用しているクラブなど何処にもない。純粋なフラット3理論はワールドユース決勝 日本ユース0-4スペインユースにおいて完全に打ち崩されていた。
 修正に修正を加え日本代表のDFライン選手の自主的な工夫によって状況に応じてラインを下げるフォーリンバックのラインコントロールと、時には1人余っているかのようなJリーグ概存スタイルに後退した3バックによって以降のW杯終了までフラット3は日本のDFラインのスタイルとして固持された。最後にはトルシエ監督の言うことを聞かずに選手たちは勝手にラインを下げて敵の攻撃に対応した。これを選手たちがフラット3を習得したからと理解するのか、選手たちに破棄されたと理解するのかは好みや見解の問題だろう。

 ジーコ監督と我々日本代表は、W杯2006ドイツ大会における2005年のアジア地区予選を戦わなければならない。

 それによってチームスタイルさえ変えなければならない状況だ。アジア地区予選の審判が日本が2次予選に勝ち上がったとき欧州人なのかアジア人なのかという懸念。

 かつてジーコ氏が再三指摘してきたように、例外はあってもアジアの審判はオフサイドをとってくれないことが多い。と、いうより資質の問題で見えていない。副審(線審)の審判資質は主審よりさらに問題がある。2005年の2006W杯アジア地区予選の中では、買収の誘惑の多い一部の経済後進国のアジア・中南米審判の笛の中で行われる可能性が残っている。
 もしそうなったらまた買収の誘惑を含めた審判問題が起こるのは火を見るより明らかだ。1997年の再現は御免だ。

 ジーコ監督は、これまで1997年アジア地区予選の加茂監督の3バックの失態を日本にいてもブラジルにいても自分の事のように観てきた。自分が監督だったらこうしなければならないという目で加茂ジャパンを見てきたにちがいない。ジーコ監督は、状況によっては審判の問題でオフサイドトラップに頼ることの出来ないアジアを戦うためにかなり時代遅れな4バックをとるかもしれない。

 このため結果が引き分けだったとしても、特に欧州志向のネットサッカーマニアから怒号と冷笑の非難を浴びるだろう。

 そしてW杯本大会出場を決めたときにジーコ監督は新しいスタイルに刷新すると願いたい。本戦で世界と戦うため発展タイプの4バックシステムに変更する。希望だがそこに欧州で成長した経験豊富なサイドバックが2人が入っていて欲しい。これからの3年でそうならねば2大会連続グループリーグ突破は難しい。もちろんどんなスタイルでも勝ちゃぁいいんだが、自分の国の代表には世界中から賞賛を得る先進的な戦術を取ってほしいのだ。


 今のところ理想の4バックを揃えるイングランド代表は2002W杯においてアルゼンチン戦において成功し、事実上の決勝戦ブラジル戦において、予想対応外のロングレンジでやられた。
 が、今後のサッカーの流れを決める意味で大きな成果を収めたと思う。気になるのはタレントを要するアルゼンチン代表と、我々日本代表だ。

 日本代表のサイドバックは味方のセンターバックのケアが出来てない。ボールのないサイドでは中に寄って敵のFWや後ろから飛び込んでくる(ビデオで研究済みの敵選手の)ケアをしなければならないのに。
 (スタッフもそういうサッカーを知らないのか)自分のサイドにボールがないときにしなければならないことの優先順位、個人戦術があやふやで目の前のサイドバックと味方2人のセンターバックがマークしているFWを交互に見てその間に立っているだけ。ボールが来てから慌てて走り寄る事しか知らない。

 ボールサイドでは敵サイドアタッカー、サイドバックに抜かれる前にクロスを出されて驚いている。完全にタイミングが合ってない。世界の一流リーグでのタイミング・リズムの経験がないのだ。
試合終了までに何とかそのリズムが掴めるかと思ってみていたらそのままだった。逆に落ちていた。
 
 JリーグではセンターバックとサイドMFの両方の技術を持ったサイドバックが見当たらない。各クラブが1人余る3バックスタイルをとって助っ人外人FWのケアばかり考えてきたからこうなった。優秀なサイドバックがいないから対面で対峙するサイドバックが優秀に育たない。

 誰が何処のリーグでどういう経験を積まなければならないかは今の選手自身が知っているようだ。日本の未来は彼らにかかっていると考えています。

Homeへ


© Rakuten Group, Inc.